環境によって樹木が生育できずに森林としての姿にならない境界線を「森林限界」と言います。
高緯度地方や高山のような場所で樹木の育成にかかわる山の環境下が「低温」や「乾燥」「過剰な水分」「硫黄」「超塩基性土壌」などに影響されると境界が発生し、森林限界が線上に現れます。
高緯度地方や高山でなくても、大雪や洪水などの影響で局地的に森林限界が発生するケースもあります。
日本で森林限界が現れるのは夏の湿度が高すぎたり、積算温度が低すぎたりする場合に発生し、環境によっては岩石地質や地形的な影響が大きいようです。
樹木が育つためには適度な気温と湿度と水分と日光が必要です。たくさんの樹木が育てばそれは森林になり山を形成しますが、樹木の生育に必要な条件が欠けてしまうと木は育たず、森林を形成しなくなります。
基本的に「日光」は山の高さに影響されずに恩恵を受けることが可能です。そうすると、樹木の育成に影響を受けるのは「低温」と「乾燥」もしくは「水分過多」が原因ということが判明します。
例えば富士山が、平野部では常緑針葉樹、山の上では落葉広葉樹が生い茂っていますが、亜高山帯から高山帯に入ると高木を目にすることができず、草や低木が点々する寂しい景色となります。
富士山は低いところで森林限界の境界線が発生していますが、これは火山活動の影響で保水性が低くなり、樹木の育てる条件が欠けてしまうからです。
北海道の大雪山は決して低い山ではありませんが、低温の条件下となってしまうため森林限界の境界線が発生してしまいます。
このように、森林限界は地形よりも厳しい環境下で発生すると考えられます。
森林限界と似たような言葉で「高地限界」があります。
高地限界は森林限界の境界線よりももっと厳しい環境下で高木が生育できなくなる限界線を指します。
極端に言うと木が一本でもあれば森林限界ですが、全く木が生えていない状況になったら「高地限界」となります。